Asia特集&コラム

シンガポール政府と企業内人材育成の取り組みVol.2 

~アジア労働力人材から、将来の人財へ~

tii-colum 「仕事と会社」に対する個人の成長モチベーション 日本人とシンガポール人の違い

人の成長欲求のひとつである学習欲求とは、経済の変化によって大きく影響を受けます。

マズローの欲求段階説から働く人の成長を当てはめて説明しますと、若い世代では第二段階と第三段階にあたり、最初は経済的な安定確保を第一に求めるので、IT産業が将来伸びると言われれば、人はITスキルを勉強しておいたほうが良いだろうと考えます。

それは、教育は自分の将来の経済的収入を決める大きな要素となり、職を得るための投資になると考えるからです。人は将来、自分に高い収入が見込めるならば、一定期間における勉強や苦労も仕方がないと考え行動します。

その後、第三段階の自分が求める組織やコミュニティへの<帰属の欲求>が満たされた後には、その組織で自分のどんなキャリアパス(昇進の道)があるのか?シンガポール人の社員に明示して目標と社内での活躍の場を持たせ、尊重される欲求を満たすことが、第4段階の<周囲から認められる欲求>を満たし、個人の就労意欲を長期で維持する動機づけ、仕事のやりがい、モチベーションを与える為にも大切なことなのです。

マズローの欲求段階説

多くの働くシンガポール人は、人口比率からしても20代から40代の若い世代であり、現在、企業で働く人達の社会心理としては、マズローの成長欲求段階からすると、第2段階~第4段階の欲求を持つ人がシンガポールの労働者に多いと仮説がたちます。

maslors-theory

このアジア県内で一番、物価の高いシンガポールで、生活の経済的安定を手にいれ、良い企業に属して、より良い生活と社会的地位向上ためのキャリアを獲得するためには、その会社が自分の市場価値を高め、その仕事が人間的成長や充実を高められることが必要であり、帰属している会社への忠誠心や仕事に対するモチベーションを高めることにつながると考えられます。

強調しておきたいのは、シンガポール人は学生時代から、努力して優秀な成績を出した人が積極的に表彰され、努力もなく成績が悪い学生には落第、違反をした学生には厳しいペナルティがあります。そんな社会環境で育ってきたシンガポール人において、努力をして成果をだしてもださなくても評価結果はさほど変わらないという職場環境では、新しい意見などしないほうが問題もおこさずに首にもならないという「得」をとるようになります。

特に、シンガポールの日系企業で働くナショナルスタッフのケースの場合、組織の幹部ボスは全員ローテーションで日本から来る駐在員と決まっていて、ナショナルスタッフにとっての昇進の道に頭打ちの壁がある場合、そもそもマインドが日本人とは違う彼らに長期にわたって働く意欲を維持し、将来のリーダーやマネージャーとして期待をすることは難しいといえます。

日本人管理職の人達から見ると、シンガポールの社員にとって、仕事のモチベーションの主たる要因は賃金だと考えられがちです。実際に現地の日本人駐在員で3年位働いている人の意見のほとんどが、そういう結論を言われます。

しかし、人の成長段階と欲求説では賃金は安全を獲得するための「衛生要因」であり、生活の心配が不要な賃金が獲得できた後は、賃金だけでは社員のモチベーションを高めて維持することは困難になってきます。

すなわち、企業が業績を高めるために、いかに社員に「動機づけ要因」を提供するかが重要になるのです。社員から見て「この会社で働く喜びや誇り」を感じられるかどうかがシンガポール人にとっても、重要になってきているのです。

space