Asia特集&コラム

1.地域統括会社とはなんぞや?Ver.1

この当社が拠点としているシンガポールでは、シンガポール政府が10年前から推進している外国企業向けの優遇制度にも代表する「地域統括会社設置」について、いまさらながら本質的なことを考え、問いてみたいと思います。
そして、このアジアパシフィックという異文化、異言語、異なる法律のある地域での成長戦略を描くことを可能に近づけてくれる、シンガポールという場所から事業戦略を考える上でこの地域の自社の資源(人・モノ・金・情報)をどうやって加工、インテグレートした事業戦略にしたてあげるべきか?  

統括会社の機能と人・組織の設計、役割を自社ではどこにフォーカスしていくべきか? 考察するための知識や情報、思考フレームワークを共有していきたいと思います。

シンガポール政府の「地域統括会社優遇制度を活用する組織」だから「統括会社」といいたげなケースも少なくないのです。それは会社経営にとっては本末転倒です。

日本でニュースになる、「教育訓練の会社が助成金欲しさにこういうコースを作りました」と同様ではないのでしょうか。

 

私の会社、インキュベーター・インスティテュートでは、シンガポールやこの周辺諸国に拠点を持つ日本企業の人事管理や人材育成の領域で、統括会社の代表とそのマネジャーとの意見交換をする機会が多くあります。そのなかで、日本企業には業界を関係なくいつも決まって共通する疑問が湧いてしまうのです。

 

「ところで、この地域統括会社とあなたの使命はなんですか?」

この質問の答えをその担当者から頂かないと、人事という領域のプロジェクトとはいえ、統括会社の人事管理の改革を行う以上はコンサルタントとして気持ち悪いことがあります。
それは会社全体の使命と目指すべき姿をこちらも理解し、共有したうえで設計しないと、目の前の短期的な担当者レベルの課題への解決で終わり、地域統括というレベルでのマネジメントや、将来的な統括会社の運営上では賞味期限が短いものになることだからです。
担当者の枝葉を見て、全体の幹が見えないとそれが最適なのか判断ができないからです。

 

2012年3月27日にJETROがリリースした
「第三回シンガポール日系企業の地域統括機能に関するアンケート調査報告書」からも、
その私の疑問の理由が見て取れました。
*どなたでもJETROサイトから、レポートがダウンロードできます。

 

この10年で、実は「地域統括会社」という看板をシンガポールで掲げたけれど、結局、地域の事業会社、子会社からけむたがられて、機能せずに「嫌われ者組織」になっていること。 まるで、「XX総理が作った、その中身はなにもない国家戦略室」という部屋です。

 
そして、そこからは、「地域統括会社が本当にグローバルな利益を増やすためにやるべきミッションと戦略」が本社に緻密な考えがないことが見て取れます。

そもそも「統括会社」とは何? 「統括」とう漢字のイメージからは、統率的なイメージで管理執行部的なイメージを持ちやすいですが、本来は“Integrate” インテグレートです。

この地域の事業会社、子会社など、グループ会社も含めて、そこにいる人・モノ・金・技術をインテグレーションしていき、その地域にあるニーズに合わせて新たな事業を創出することで、地域のグループ会社全体の利益幅を増加させることだと考えています。
この作業は、過去30年間、事業別にカンパニー化を推進してきた日本企業にとっては、考えることも難しいかもしれません。
それには、一度、会社全体の事業ポートフォーリオを作成してから、アジア地域での事業機会についてのマーケット環境と共に考えていかないと事業戦略は描けません。

 
私自身は、人事戦略やマーケティング戦略には明るいのですが、財務や調達、サプライチェーン戦略はまったくの素人なので、この分野には言及を避け、専門家に任せまして、経営上の人事とマーケティング戦略の領域でこのコラムでは問いをぶつけていきたいと思います。

しかし、どうして、国境を越えたグローバル経営では欧米企業が一番力をいれてきた、「人材&マーケティング戦略」に対して、日本企業は戦時中から、21世紀になっても人材マネジメント&人材戦略を放置、広報・マーケティング戦略が弱いのか??
その点についても理解を追及していきたいと思います。

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