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レッスン13.グローバルリーダーへの道~海外マネージャーが持つべきナレッジ・スキル・マインド(前編)

“海外マネージャーが持つべきナレッジ・スキル・マインド

英語でビジネスができる人への脱皮

英語でビジネスができる人への脱皮

私が働く、The Incubator Institute では、日本人駐在マネージャー向けのビジネス英語トレーニングコースを通年で開講してきました。
色々な業界で働く会社の経営者やマネージャーが、何とか時間をやりくりしながら、毎週、3時間、みっちりと職場での英語コミュニケーション、社内ミーティングでの話し方のトレーニングをしています。
 その向上心ある姿には、いつも敬服しています。皆さん、日本とは違って、目の前に海外スタッフとのコミュニケーション、外国企業の社長とのミーティングなど差し迫った課題があるので、よけいに一生懸命。
実際に、ある電器メーカーの社長から、「この前、会社の歓送迎会で、英語でスピーチしちゃったよ!」と言われて、私はとても嬉しくなりました。 その方は、50歳を過ぎてから、シンガポールで初めて本気で英語習得に取り組みはじめました。 最初は、彼の言いたいことが、英語ではほとんど講師には伝わっていなかったけれど、今では発音はさておき、本人が伝えようとする意欲があるので、文法に気をつけて、解りやすい英語になってきました。 あきらめずに課題に取り組むことで、本当に人はいくつになっても、成長して能力を伸ばせるものです。 また、その方の場合は、性格的に新しいものに好奇心があり、ちゃんと言いたい、という積極的な性格が、良い成果に影響を与えている気がします。

さて、海外でビジネスをしている日本人は、この私自身も例外ではなく、皆、英語や外国語習得には本当に苦労しています。しかし、その努力を怠っていては、今ではマネージャーとして怠慢だといわれかねません。
なぜなら、アメリカ人やイギリスなどの英語圏の人達も、海外で働く以上は、自分たちの普段の英語ではなく、【アジアの第二言語として伝わる英語】を使うことを求められています。また、実際にアジア人で顧客や部下を持つネィティブ英語スピーカーのマネージャー達は、中国語、日本語など、その異文化、異言語の習得を課題として取り組んでいます。
いまや、英語は、英語圏のネイティブスピーカー達の人口よりも、世界の第二言語で英語を使う人達のほうが、人口がはるかに多い、マジョリティなのです。
ですから、日本人がよく言う、「英語がぺらぺら」という表現がありますが、「英語がぺらぺら」よりも、多少の発音や文法の間違いよりも、英語を使って外国人を相手に仕事ができる、すなわち、【英語で相手を動かすことができる】スキルが一番、重要な能力となってきます。

次の図は、日本人の海外ビジネスにおける問題点の違いを表しています。
さて、あなたは今、どのボックスに位置していますか? 
これから、私達は、右上の「日本語はもちろん英語で外国人と仕事ができる人」のボックスにはいることが目標です。

日本人の海外ビジネスにおいての問題点


英語コミュニケーションと海外ビジネスに必要なマインド・セット

今では、英語で仕事をする人達とは、欧米人だけではありません。
東南アジア、中国、南アメリカ、中東、インドの人達も英語でビジネスをしています。 彼らは、英語力だけでなく、英語でのビジネスに必要な知識も備えようと努力しています。

しかし、一方で、そんな外国人たちと一緒に働いている日本人がよく言うことは、

  • 黙って、人の話を最後まで聞くということを知らないのか?
  • 本当に気がきかないよな。
  • 質問する前にまずは自分で考えろよな。
  • まあ、大丈夫だろ。彼らは私の言うことは解ってくれているみたいだ。
  • シンガポーリアンが話す英語は発音や文法がおかしくて解らないよ。

という愚痴が聞こえてきます。

英語でのコミュニケーションの前提は、人が話している途中でも、その話をより理解して確認するためにも、質問をしてきます。 しかし、日本人の場合は、小さいときから、親や先生に「人の話はだまって聞きなさい」と教わってきました。 だから、途中で質問があったり、それはどういう意味ですか?と口をはさまれると、相手の態度が失礼だと思い、感情的になってしまうのです。もう、そうなると、日本人の多くは異文化・英語コミュニケーションに慣れていないので、話しの内容よりもその「無礼」にこだわってしまい、その「ミーティングの内容」にはそれ以上のポジティブなディスカッションに及びません。

反対に、ずっと黙って聞いている日本人に対しては、英語圏の人達からするとどうなのでしょう?
外国人:「この人、本当に私の話を聞いているのか?」「私のこの話にぜんぜん、興味がないのか?」「この人、目をつぶっているけど、私とのミーティング中に、まさか寝ているのか????」と、思ってしまう。

これは、異文化コミュニケーションにおいて、よくあるギャップなのですが、まずは、お互いのコミュニケーションに求める前提、背景が違うのです。これは、シンガポール人と仕事をしていても、よく起きることです。

ただ、相手が第二言語としての英語を使っているならば、やはり、まずは英語でのコミュニケーションの前提や使い方、お互い相手にとって解りやすい表現を使っていくことが、まずは大切な努力といえるのではないでしょうか。 それは、企業内に日本語が話せる外国人がいて、日本語を共通語として使っている場合でも、同じことがいえるわけです。

もし、私たちネィティブジャパニーズが、日本語を話す外国人スタッフに、
会議中
社長:「それは、やぶさかではない。」
外国人スタッフ:「社長、すみません、ちょっとそれはどういう意味ですか?」
社長:「会議中にそんな質問するな!佐藤、お前、後で教えておけ。」
佐藤課長:「はい、わかりました。」
外国人スタッフ:「・・・・・・」 (なんか、俺、悪い質問したのか?)

シンガポール国内で、職場の共通語を日本語にしている会社はほとんど無いとは思いますが、私達は今、外国で外国人と一緒に働き、一緒に企業の目的を追求しているということに変わりはありません。 ですから、お互いにコミュニケーションを円滑にしていくための努力を惜しんではいけないのではないでしょうか。


英語は、日本企業のDNAを世界に伝えるための道具

一方で、私達、日本人には仕事に対する「こだわり」というのが存在します。そのこだわりこそが、私達、日本人の文化でもあると私は思います。
すべてを相手に合わせることが正解ではなく、そのこだわりを彼らに理解してもらうために、英語や外国語を使うって伝えて、人を育てていくのです。
そのこだわりとは、日本企業の技術力や、品質、サービスに対する姿勢だったりします。
それは、日本企業のDNAかもしれません。この私達が大切にしている、DNAを世界の外国人に伝えていくために使うツールが、英語だ、というわけです。
しかし、この英語というツールをできるだけうまく使わないと、相手に理解を求めるのは、さらに難しいことになり、それは、日本の無口な職人が弟子に「俺の背中を見て覚えろ」というのとまったく同じ状況になり、それは、弟子が育つのに長い、長い年月を強います。
現代では、日本人でもそのような人の育て方には耐え切れず、育つ途中でやめてしまいます。 もちろん、人が本当にプロとして成長するのには年月はかかりますが、英語という言語は、論理的な構造をしているので、逆に頭で理解してから、行動したい人には言葉で、理論的に教えてもらったほうが安心して学べることが多いのです。
海外で、外国人と仕事をするには、まずは、日本人のマインドセットが必要なようです。
次回は、そのマインドセットと、実際にグローバルビジネスリーダーを目指すにとって必要なことは何なのか、解説していきます。

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