Asia特集&コラム

キャリアマネジメント

Lesson12.自分探しとキャリア開発(2)

“キャリア・アンカーの領域とコンピタンスの種類”

キャリア・アンカーの領域とコンピタンスの種類

人は、以下のような分野の仕事に対して、自らの能力(コンピタンス)と性質によって積極性をもちます。
ご自分がどれに当てはまるか、ぜひ、少しの時間、考えてみてください。
まずは、このあたりから、自分のキャリア・アンカーを探っていくことで、自己の欲求を明確化し、自分のキャリアの方向性を明らかにすることができます。


(A) スペシャリスト系コンピタンス

企画・販売・営業・人事・エンジニア・デザイナーなどの特定の分野、技術の能力を発揮することに幸せを感じる。

(B)経営管理系コンピタンス

組織内の機能を相互的に結びつけ、対人関係を処理し、集団を統率する能力や権限を行使する能力を発揮し、企業、組織の期待に応えることに幸せを感じる。

(C)安定性

仕事の満足度、雇用保障、年金、退職金などの経済的安定を得ることが価値や満足度の基盤となる。また、一つの組織に勤務し、組織への忠誠や献身などが見られる。

(D)起業家的創造性コンピタンス

新しいものを創り出すこと、障害を乗り越える能力と意気込み、リスクを恐れずに何かを達成すること、達成したものが自分の能力や努力によるものだという欲求が原動力となる。

(E)自律性

組織のルールに縛られず、自分のやり方で仕事を進めていく。組織に属している場合、仕事のペースを自分の裁量で自由に決めることを望む。

(F)社会貢献性

暮らしやすい社会の実現、救済、教育などに価値あることを成し遂げることに価値を感じる。リスクがあっても、自分の関心のある分野で仕事をする機会を求める。

(G)調和性

個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力を入れる。自分のライフワークをまとめたいと考えており、それをできるような仕事を考えている。

(H)チャレンジ性

解決困難に見える問題の解決や、手ごわい相手に知力や技術力などで打ち勝とうとしたり、目新しさ、変化を好み、新しいものごとへのチャレンジや競争のなかでやりがいを感じる。


これは、人によって絶対に一種類のタイプに限るというわけでは
ありません。一つの人もいれば、2つ、3つの複数を併せ持った仕事がしたいという欲求や性質を持つ人がほとんどです。
ただ、4項目以上で、これらほとんど全てが当てはまる、というような方は、まだ自分のことを理解できていない人が多いと言えます。
大学を卒業して、自分がまだ何をしたいのか解らないという人は、「こういうのもいいですね、ああ、これもいいですよね。でも、自分がどれが向いているのか、解りません」とおっしゃる方が多いですね。

実際に、キャリアコンサルティングの現場では、個人が「自分がどんな仕事をしたいのか、まったく解りません」
という方には、職業に関する自己分析テストを使って、カウンセリングを行い、職業を研究しながら選択していきます。
一方、企業側では、エニアグラム(9つの性格)やコンピタンシーという、その人個人の行動特性について
の分析も組織の最適化や、事業に対しての戦略的な人事マネージメントにも応用、活用されています。


“自分を探して知る”ことの重要性

"自分を探して知る"ことの重要性

このグローバルキャリアデザイン講座の連載では、前半に自分を知る、自己分析、自己認知が、個人の自律的なキャリアの形成には、もっとも大切なステップであることを皆さんにお伝えしてきました。
自分がどんな仕事をすれば、幸福感、充実感を感じて積極的に働けるのか?これは、本当に100人いれば、100人のキャリア道があり、個人によってその幸福を求める道が違います。その違いを知ることが、実は自分を仕事で幸せにするステップなのです。
そして、その自分の価値観や能力の核となるキャリアアンカーをどこに置いて、どのようにキャリアを形成していくのか、計画をたて、能力開発、社内での職務のグレードアップ、職種の転換、または転職の選択をしていくことが、効果的な個人のキャリア開発だといえると思います。
一方で転職などで自分のキャリアを考えるその時に、自分のキャリア・アンカーがどこにあるのかが解らないと、目に見える他人の価値判断による情報や、営業の数字に追われる人材紹介会社の仕事の斡旋などに振り回されてしまい、自分はどうしたいのかさらに解らなくなってしまいます。
そうならない為にも私達、キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントは、職業や能力開発に関する情報を提供するだけでなく、その個人の自律的キャリア形成を促進し、クライエントのメンタルな側面とキャリアの側面の両面にわたって援助することが社会的な役割なのです。


社内転職という転職

最後に、今の仕事がどうも自分には合わないと違和感を感じる方に。
会社のなかには、色々な仕事があります。特に規模の大きな会社では会社を辞めなくても、社内での転職先を探してみることができます。 
皆さんに知られている企業のなかでは、外資系ではHP、P&Gなど、日系ですと、リクルートや、ソニーなどの会社のように、社内の部署でポジションを募集して、社員が社内求人に応募ができる、社内公募制度がとられている会社が増えてきています。個人に選択肢がない命令的な人材配置よりも個人のやる気や自律的なキャリアの選択を重視して、社員が能動的に育つようにしていこうという方法です。
また、部署の部門長には人事権が与えられており、会社の人事部は、その部門長や部署に対しては、専門的な労務管理部分をサポートします。
働く個人が、自律的なキャリア形成を考えていくことも大切ですが、そのキャリア開発を支援し、社員を組織に活かし、輝かせてくための企業側の変化も今、大きく求められていることは間違いありません。


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