Asia特集&コラム

キャリアマネジメント

レッスン1.旧日本型キャリアと現代キャリア

「就社」と「就職」

「就社」と「就職」

誰もが、一度や二度は「会社」というものと、お見合い(=就職活動)をして、結婚(=就職)したことがあるはず。
そして、ここ十年間では、離婚、再婚=(転職)をした経験を持つ人も珍しくないし、海外で外資系の会社に就職する人(国際結婚?)も少なくありません。
これまでの日本企業、日本人にとっての「就職」を振り返ってみると、実は「就社」という言葉の方が、現実によりフィットした意味を持つ言葉だったのではないでしょうか?
なぜなら、多くの人がその会社に入社すれば、その会社内においてのキャリア=仕事&人生を考え、人生設計してきたからなのです。
しかし、この失われた十年に、二十一世紀に突入、就職という言葉の意味と現実がより確実に近づいてきました。

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冒頭に就職を結婚になぞらえて、書いてみましたが、これまでの日本人のキャリアのあり方、「就社」スタイルは昔の日本女性の結婚、嫁入りとそのスタイルがよく似ていることに、私は気がつきました。
女が嫁入りすることは、相手のお家に「嫁ぐ」(嫁に行く・縁づく)ことで、家の伝統、しきたりを厳守しながら、嫁としての立場で働き、親族と生活していく。嫁が、義母に反論するなんて、ご法度。
その家のやり方に合わせ、夫の親族に嫌われないよう、自分の立場をわきまえた態度を示し、いつか夫と自分が家を仕切る番が来るまでは、理不尽だと思う事があっても、耐えて従属して生きていくのである・・・
これを読んで、長年、日本企業で働いている方がドキッとしたか、頷いたかは解りませんが、少なくとも、社会人になって二十年以上の人達の中には、日本古来の家のあり方と会社のあり方の共通点に、頷いてしまう人がいるのではないでしょうか。


「キャリアって何なの?」

キャリアは英語では、Career と書くが、馬車のCarriage 物や人を運ぶ、Carrier と同じ語源。
大切なものを遠くへ運んでいくところが類似している。人の場合は、人生が旅路であり、キャリアは、その長期的な生き方、働き方を意味しています。
さて、皆さんにはまず、既存の「日本型キャリア」とこれからの新しいキャリアの違いをまず認識することから、自分のキャリアをみつめていただきたい。
旧日本型キャリアとはどのようなものだったのでしょうか? 決定的に言えるのは、個人のキャリアを設計するイニシティアブを持っているのは、社員自身ではなく、雇用する側の会社が握っていたということ。
個人は、終身の雇用の保障を得る代わりに、「自分自身のキャリアを自ら設計する権利」を会社に差し出していたわけです。
人事異動や転勤など、それが個人の仕事生活だけでなく、家庭生活においても重大な影響を与える事であっても、それは会社からの命令であり、それを拒否することは、仕事人生におけるドロップアウトを意味するに等しいことでした。
旧「日本型キャリア」とは会社から与えられるものであり、そこに個人の主体性は極めて乏しく、したがって、自らのキャリアについて考える「キャリア意識」そのものが育たなかったと言えます。
旧日本型キャリアを構成するファクターは、次の3つを前提になっていました。

  1. 「終身雇用」「年功序列」という、日本的な雇用制度
  2. 大企業はつぶれないという、「会社規模の神話」
  3. 1と2を基準にした、「一律的な社会からの企業評価」と序列

しかし、バブルの崩壊から、失われた十年を経て、皆に永遠に続くと思われていた大企業、一流企業が経営破綻に追い込まれ、それを何とか回避しようと多数の企業がリストラを人員整理から始めた。
その現実を目の当たりにしたことから、日本の会社雇用の認識は、企業も個人もあっという間に変わってしまいました。


変貌した現代人のキャリア

変貌した現代人のキャリア

それでは、これからも働いていく私達が持つべき、キャリア意識とは、どんなものものでしょうか?
厚生労働省の「『キャリア形成を支援する労働市場政策研究会』報告書(平成14年7月31日)」によれば、以下のように説明されている。
【「キャリア」とは、一般的に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、 時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。】
もう少し解り易く表現すると、個人の職業の経歴とその発展プロセスを含めた、過去と将来をつなげる道成りのことだとも言えます。
キャリア論は、色々な概念がありますが、私は、【「キャリア」とは、職業経歴に、その人がその仕事をやり遂げた背景にある人生経験をも含めたものが、個人の「キャリア」である】という考えを前提にして、海外で働く皆さんに、これから持つべき個人のキャリアに関する考え方、自分自身で選択して設計するキャリア、すなわち戦略的キャリア・デザインについて解説していきます。

【参考文献】働く人のキャリアデザイン:金井壽宏著 PHP新書

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