Asia特集&コラム

キャリアマネジメント

Lesson07.自律型・三次元T型会社員”を目指せ(2)

女性向新キャリアモデル”三次元 t 型スペシャリスト”

会社内でキャリアを磨き、自分の市場価値を高める

前回の(1)では、これからのキャリアの方向性として、自律型・三次元型人材のキャリアの形成とその価値について解説しました。(1)の解説例は、多くの海外駐在員やシンガポール法人の幹部として働いているようなビジネスリーダーに参考になるキャリアモデルでした。

今回は、シンガポールにも多い海外転職、外資系企業をねらう女性の方達にも実践的なケースモデルを解説したいと思います。


理想のキャリアを目指すために

日本は男女雇用均等法が施行されてから、すでに50年が経ったが、未だに女性の管理職が占める割合は、わずか7.8%。この中に多分、女性の姿をした男性はカウントされていないだろうから、男性が92.2%となる。と、いうことは、日本企業で女性が管理職になることは、単純にその職場のシーンを推測するとマネージャー会議の時には、自分以外は全員がダークな背広を着た男性管理職。

そう、日本の場合、女性管理職はマイノリティであり、男性社会の有形無形なルールの中で働かないとならない。シンガポールの場合は、二人に一人は、女性の管理職だから、多くの男性が女性の上司と一緒に働く経験をしている。

実はこの差が、日本企業の中で、マネージメントエリアへのキャリア形成を目指す女性にとって大きな障壁になっていることはほぼ間違いない。

かといって、一生懸命英語力を上げて、いきなり日本で外資系に転職したとしても、まずは一次元的業務レベルか、日本人顧客担当の仕事に限られてしまうことが多い。

それでも、単純にお給料が上がれば、もしくは海外就職すればキャリアアップ!なんてことを言って喜んでいる女性は確実に業績をあげていかないと、いつか、そのあなたの業務はパートか、契約社員にとって代えられてしまう可能性が高い・・・。
なんせ、日本語ぺらぺらの若い中国人が「はい、わかりました!」と元気よく言うことを聞くうえ、モチベーションの高い、総務経理業務専門業者の人達が、中国では待ち構えている。これは、日本マーケットでは5年位前から増えてきたサービスで、部門の業務をまるごと海外へアウトソースする。有名なのは日本IBMが自社のグローバルERP/業務基幹システムを活用し日本企業へ提供している。

ちょっと前に観た「OLにっぽん」という観月ありさ主演ドラマが、日本企業のグローバル経営への変化を描いていて、制作者側のメッセージ性のあるドラマだなと思った。OLという言葉はもう死語なのかもしれない。可愛らしい女性の姿をした受付ロボットまでが登場している時代である。英語が話せる美しい女性受付ロボットの出現は時間の問題である・・・。

また、コミュニケーションスキルが弱い人は、重要な仕事は任せてもらえないので、仕事の上でディスアドバンテージを持つことになる。

ここが、せっかく日本でキャリアを積んだ人でも、海外での転職を迷う大きな障壁ともなる。実際、この辺りのことを推測できる人は、おおいに悩むはずだ。しかし、現実に海外に来て転職している人は、インターネットで人材紹介会社から求人情報を複数入手して、「行けば、何とかなるだろう!」という楽観的な人が結構多いのではないだろうか。

悩んでいて前に進めないくらいなら、進んでから悩むという方法もあるので、これも間違いではない。しかし、その場合でも進んでからぜひ、正しく悩んで欲しい。

そうでないと、あっちに行っても、こっちに行っても何だか違うと、根無し草のようなキャリアを踏むことになる。短期間でそれをやっていると、末端業務レベルの仕事のオンパレードで、どんどん横軸だけが伸びて、実績がない平面の「一」文字型になり、「何も応用ができないキャリア」になってしまう。ちなみに、このタイプをキャリアが豊富だと勘違いして企業が採用してしまった場合、期待した貢献も無く短期で辞められるか、ずっと留まるかで、給料だけは出さなければならず、リスクの高い人材タイプである。


自律型三次元t型スペシャリスト・プロフェッショナル

現実の日本企業の組織や、これまでの日本でのキャリアを海外で活かしていこうとする女性達、または管理職を目標にしない男性のために、「社内スペシャリスト・プロフェッショナルタイプのt型」のキャリアを、これからのご自分のキャリア形成のモデルの作り方として強くお薦めしたい。

まず、解説図をご覧いただきたい。

自律型三次元T型人材

今回は、海外で転職、キャリアアップを目指す人の場合である。

キャリアの箱の横軸が、キャリア領域の広さ、高さが実績、縦軸が専門分野の深さを表している。

最初は、総務など、一般事務系の管理アシスタント業務からスタートしたが、秘書業務のキャリアと、社内広報、経理のキャリアも経験。

その後、日系企業で働きながら、語学力を増強させ、外資系で秘書業務の転職を果たす。外資系で働く間に、ビジネスマネージメントの知識を学び、その後、既存のセクレタリーを越えて、オフィスマネージメント、すなわち会社オフィス全体の効率的マネージメントという新しい時代のセクレタリーの仕事にグレードアップする。

この場合、社内のあらゆるマネージャーの効率的なビジネス環境を作るためにビジネスマネージメント知識が求められ、企業のマネージメント領域に関わる仕事になる。これは、まさに一次元の秘書業務を越えた、「オフィスアドミニストレーター」という社内プロフェッショナルである。

ITネットワーク、世界中で使える携帯電話、サーバー上のスケジュール管理ソフトなどの出現により、今では秘書がいなくても、ボスが自分でスケジュールを管理して、関係する部署が好きなときにボスのスケジュールを確認することができる。(日本の秘書検定なんぞは、その変化をきちんと導入させているのだろうか?)

このようにビジネス環境が急速なスピードで変化する現象が見えてきている時には、次の新しいスキルや知識を自分に投入しないと、市場の変化に取り残されてしまうのだ。取り残された後に、「会社が悪い」なんて言っても、誰もその責任をとってはくれない。自己責任だ。

もうひとつのケースは、転職派でも長期会社員の男性社員でも参考にしていただきたい、「社内スペシャリストのt型」モデルだ。

最初は、営業アシスタントや営業からスタートしたが、データ管理業務、商品管理、広報など、キャリア領域の幅を他の職域も経験し、ITネットワークの管理のための専門知識を途中で投入した後、沢山のプロジェクトを経験し、プロジェクトマネージャーへと専門分野を深めていく。恐らく、この次のステップは、社内ITコンサルタント、もしくは独立が目指せる。

組織のラインの長としての仕事に魅力を感じない場合は、この小文字のt型スペシャリスト、社内プロフェッショナルが、これからは男女ともに市場価値の高いキャリアモデルになるだろう。未だ、旧来の男性社会のルールで管理職の選抜をしている企業は残念ながら多数派だ。

周囲の海外駐在員の女性の割合を想像してみてもお解りになるだろう。だったら、無理して女を捨てて、旧来型男性社会のルールの出世街道に入り、おやじウーマンにならなくても、彼らが持っていない専門分野を持ってしまえばいいのだ。

space