インキュベーター・インスティテュート齋藤一恵のブログ

‘アジア・コーポレートコンプライアンスとビジネス倫理’ カテゴリーのアーカイブ

2014 年 12 月 8 日 月曜日

【アジアのコーポレートコンプライアンスと日本人の海外ビジネス倫理】-1

シンガポールや、マレーシア、タイなどこのアジア地域の日本企業の職場では、実は不正行為や詐欺行為が、普段当り前のように沢山の企業で発生していることをご存知でしょうか?

ここシンガポールで10年間、日本企業の海外拠点の就業規則や人事管理規定を策定するコンサルティングサービスを仕事にしてきている私が最近、感じていることで、この人の不正行為、嘘をつく人はシンガポールでは日本人でもいます。
この問題をどうしたらいいのか?と考えていて、まずは、“HR X IT “人事とITがコラボすることで、従業員同士での不正行動の注意喚起の役割が担えないかと考えています。
この課題についてアジアビジネス現場の情報を皆さんと共有しながら、考察してみたいと思います。

日本企業の場合は、こういった事件があっても、もともと隠ぺいしたい企業文化があるようで、グローバル社会に影響のある規模の事件にならないと、なかなか表にはでてこないようですが・・・

皆さんもネットなどでご存知だと思いますが、世界でもこのシンガポールという国の透明性、不正が少ない国として、は世界でも高い評価をされており、 世界ランキングで7位につけています。その上位のほとんどは北欧の国が並んでいまして、日本は15位、という、私個人の予測よりは高位にランクされていました。

・・・・References cited from 2013/2014 Global Fraud Report by Kroll・・・・
1 位 Denmark 92 points
2位  New Zealand 91
3位  Finland 89
4位  Sweden 87
5 位 Norway 86
5 位 Switzerland 86
7位 Singapore 84
8位 Netherlands 83
9位 Luxembourg 82
10位 Canada 81
11位 Australia 80
12位 Germany 79
12位 Iceland 79
14位 United Kingdom 78
15位 Belgium 76
15位 Japan 76
17位 Barbados 74
17位 Hong Kong 74
17位 Ireland 74
17位 United States 74

*ご関心のある方は、こちらのウェブサイトでフルレポートをご覧ください。
2013/2014 Global Fraud Report by Kroll
http://fraud.kroll.com/wp-content/uploads/2014/05/globalfraudreport_2013-14_jp_web.pdf

こういったグローバル調査の場合には、その評価機関が独自で設定している評価基準、評価する対象の範囲によりスコアは変わりますが、国としてはこの第三者機関による調査報告は無視はできないというところ。シンガポール政府は、こういった国際調査機関での評価基準をしっかり意識して国の政策にもその目指すべき基準を織り込んできたと思います。

一方で、シンガポール社会の地元、産業界では、ローカル企業でも詐欺や不正行為の被害がとても多く発生しているのをご存知でしょうか?

シンガポール不正行為調査レポート 
SINGAPORE FRAUD SURVEY 2014 by KPMG & SMU

以下はシンガポールの会計監査会社KPMG の調査活動に、Singapore management University が今回初めて協働して作成した2014年レポート。
フルレポートはこちら: http://bit.ly/1BqxJ9X

このサーベイレポートのサマリーからは、以下のような結果がでてきました。
*不正行為をした人のプロファイルの平均データもでています。

<調査対象> 多様な業界から103社の回答。約75%の組織がS$50 milion 以上の収益のある企業。回答者の40%以上が、会社のCEO、CFO,ボードメンバーの人からの回答を得た。
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29% シンガポールの4社に1社が、過去2年間で1件以上の不正行為があった。
58% 2011年から、2014年までに発生した不正行為は、社内の従業員によるものだった
17% 2014年に通報があったケースのうちに17%が会社のボードメンバーによる不正だった
66% 海外ビジネスをするうえで従業員の汚職リスクがシンガポーリアンにとって最大の脅威
64% 従業員に会社の重要な情報を悪用をされる懸念
59% 従業員に会社の重要な情報を個人で記録保管される懸念
51% 電子データの追跡調査を操作される懸念
56% コンフィデンシャルな情報が従業員のメールで漏えいすること
29% 不正行為は蔓延してきており、スパイ行為や妨害行為は脅威であると思う。
58% 不正行為の脅威は従業員の不正行為による割合が高い

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「情報の共有」と「コミュニケーション強化」の重要性

法治国家で、法律が厳しく運用されており、治安も良く、透明性の高い政府。
そんなシンガポールでも人による不正行為のリスクがあります。また、このシンガポール以外のアジアではさらに詐欺、賄賂、知らずに反社会的組織や、騙しの常習犯に会う確率が高まります。 取引先だけでなく、社員・契約社員の不正行為、または経営者幹部の不正行為を予防するために、就業規則、社員の行動規範をまずは定めたうえで、罰則規定を制定しておくことは基本中の基本ですが、それをさせない、できない環境をつくるためには、人事とITシステムがタッグを組むことで、そのコンプライアンス環境を構築するサポートができると考えています。
今後、何回かに分けて、海外拠点における従業員の行動規範と不正防止の方法について、考察してブログに書いていきたいと思います。

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