インキュベーター・インスティテュート齋藤一恵のブログ

海外現地就職者のキャリア危機と組織的有効活用について(2)

前回は、これまでのシンガポールへの日本人移住事情の典型的パターンについてお伝えしました。(ここのところ、海外出張も多くて落ち着いてブログ書けないんです・・・)

グローバル人事マネジメントのコンサルの現場にいますと感じるのが、最近、やっと日本企業の海外拠点における現地社員についての育成に意識が高まってきました。
(私がグローバル人材育成を目的に会社設立したのはちょっと早すぎたかなと思うこの頃・・・)

しかし、このグローバルなテーマでシンガポールで人事制度や人材育成のための会議をしていると、「現地就職した日本人のポジションとキャリア、育成」については、会議のテーブルにはあがらないのです。(T_T)

最近やっと一部の業界、企業では海外ローカル社員を管理職、それも部長クラスまでのキャリアパスをつくっていこうという流れになってきています。
海外拠点で契約した日本人社員は本社からみたら、あまり顔が見えない存在かもしれません。
しかし、現場では重要なキーマンになっているケースも多い、現地契約の日本人社員。
この人たちも、本来は日本語も使えて、日本企業の文化も理解できて会社方針に従い、英語と日本語をつかってローカル社員とのコミュニケーションを円滑にする存在。

それなのに、海外駐在員とも報酬制度は違い、ローカル社員の新しいキャリアパスや日本やシンガポールで開催する人材育成研修制度には対象外になっているのだ・・・。
なんで???

私が企業の人材育成システムの構築や研修の話をするときには、必ず、そういった現地契約した日本人の方もぜひ参加対象者にしたらいかがでしょうか?と提案するのですが、
企業によっては日本人現地就職者はまったく育成対象としては考えていない人も多いのが実情。

一方で、当社の顧客企業のS社では、優秀な日本人の現地契約者には日本の厚生年金の補助や定期的な研修への参加もOKしている。(こんな会社は実は珍しいのです。)
そんなS社は、優秀な女性社員が活躍しています。
これも、その会社のシンガポール社長の社員の人生設計への考慮、愛情と人権的な視野から考えて、いつか日本に帰るという日本人にとって、これは当然の福利厚生制度でしょうという経営判断だったようです。(はっきりいって人格も高くて素敵な社長でした。)

日本企業のグローバル経営に向けた人材戦略としての弱みは、本音と建前が違っていて、それが原因での制度のひずみとしかいえない人事制度。

一方で、日本企業の社員自体が、なんでもかんでも会社にぶら下がり、依存しており、
駐在員で目が当てられないのが、海外駐在中にかかる費用はなんでもかんでも会社に経費請求する権利があると思っている公私の分別がないサラリーマン的な人。
また、不思議なのですが、そういう人の奥様も「シンガポール赴任中にかかるお金は会社が負担してくれて当たり前」というタイプ。

なんだか、駐在期間3年とか、ある意味、なにか宇宙に飛ばされたうえで、普段の生活ではかからない宇宙服とか買うならわかりますが、人生、どこで生きていても人生期間。
その間にかかるものはかかるし、場所は変わっても自分たち家族との人生を楽しむという感性には到達していないようです。

そういうセコイ経費利用は、現地の社員の経理担当からローカル社員にすぐにばれるのと、尊敬できないのと、ローカル社員よりも高い優遇精度で生活しているのにそんな行為をする社長や、部長の下で働いていると思うとよけいに役人仕事に徹するわけです。

実際、シンガポールのローカル社員や日本人現地契約社員から何度も聞いたことありますが、シンガポールの拠点の社長、部長クラスが、平気で週末に自分の家族がレストランで食事したレシートを会社の経費で請求したり、会社の携帯電話で日本へ長時間私用おしゃべりで使っているとのこと。一方で、オフィスでは電気の使い方に厳しいルール。「いえないけど、あなたの携帯電話を安くすれば、オフィスの電気代なんて余裕でペイできるんだけど・・・」というなんだか、矛盾している現場なわけです。
ローカル社員はイエスマンなので誰も見て見ぬふりしていますが、実は全社員がそういうことを知っていると思っていたほうがいいですね。知らないだろうと思っているのは日本人だけ、という職場もあります。

そんなこともわかっている職場の契約日本人社員は、本社がこれから、本気でグローバル経営を目指し、経営改革をいれる場合、赴任の駐在員管理職、ローカル社員の実態など、今後のグローバル経営上での改革やローカル社員の意見をくみ上げるのには必ず役立つ存在のはず。

それなのに、どうも大手企業の人材育成計画には、「日本人現地社員の育成やキャリアパス」が抜け落ちている・・・これは問題。 この人たちの日本人が海外で踏ん張るためのリスクを背負った存在と貢献度をどうか忘れないで欲しいです!!!

コメント / トラックバック 3 件

  1. yamada より:

    現在、シンガポールでの就職を検討して就職活動をしているものです。ただ、色々なところで今のキャリアや待遇をすて現地採用でよいのか?といわれます。先日は内定をいただいた企業の社長様から言われました。辞退した企業ですが。
    日本企業では現地採用のキャリアパスができていない以上、経験として日本では認められにくいのでしょうか?
    私は海外で働く経験を通して語学力の向上と外国人とのコミュニケーション能力を身につけ、いずれは日本に帰国し、再就職したいと考えています。こうした海外現地採用での経験は日本に帰った際に認めてもらえるものでしょうか?齋藤様のご意見を伺えれば非常に幸いです。

  2. Kaz より:

    yamada さま
    齋藤です。コメントありがとうございます。 私はyamadaさんの考えは間違っていないと思いますし、そのキャリアビジョンでご自分のキャリアパスを選んでいけば、日本に帰っても認めてもらえる会社はあります。「今のキャリアを捨てて、現地採用でいいのか?」と聞いた社長の会社には入社しなくて正解ですね。そんなことを言う社長の会社には現地採用のキャリアパスがないからです。 今後、日本企業は海外、アジア市場を無視できない時代にはいっていきます。ですから、すでにアジアで働いた経験と人脈のある人材は企業にとっては欲しい人材になるはずです。ただ、気を付けないといけないのはシンガポールの日本企業で働き、駐在員のアシスト的なポジションで働いていては、キャリアの強化と専門分野をもつことができません。 何かこれは私に任せてくださいと言える仕事分野を持ち、その上で日本企業のカルチャーを理解しながら、アジアの企業や人を相手にビジネスができる人材になれれば、将来、日本に帰ってからでも重宝されると思います。成長するこのアジアで可能性を広げてぜひ、頑張ってください。

  3. yamada より:

    齋藤様。お返事いただきありがとうございます。すごく勇気付けられました。駐在員のアシスト的ポジションではない専門分野を持つというのは自分自ら考え、独完できる仕事ができるよう頑張るということでしょうか?年収は下がってしまいますが、それ以上の経験やスキルを得る!という意気込みで頑張りたいと思います。

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